ウッドデッキにカビや腐りが発生する原因の一つは、床下の湿気です。 湿気や水はけが悪い状態が続くと、カビや腐りが柱から床板へと広がり、ウットデッキの劣化が早く進んでしまいます。
この記事では、ウッドデッキの湿気対策として効果的な方法をご紹介します。
適切な湿気対策でウッドデッキをより長持ちさせましょう。
1.湿気に強い材料を選ぶ
耐久性の高いハードウッドは木の密度が高く、水分を通しにくい構造になっています。 人気のウリンやイペは湿気に強く、特にウリンは生産地では湿地帯の住居に使われているほどです。
一般的にハードウッドはソフトウッドよりも耐湿性が高いですが、湿度の高い場所には不向きなハードウッドもあります。
人工木はそれ自体は耐久性が高くカビや腐りにも強いですが、藻や苔が繁殖したり、劣化したりすることはあるので、耐水性をうたった製品や特殊構造の製品以外は、必ずしも耐湿性が高いとは言い切れません。(リーベのオリジナル人工木では温泉地でも使用されている「プラチナデッキ2」が湿気に強くおすすめです。)
ただし、どの樹種でも環境条件やメンテナンスの方法によっては劣化するので、注意が必要です。
※生産地や品質、環境などにより差があります。目安としてお考えください。
2.日当たりと風通しの良い場所に設置する
ウッドデッキのカビや腐りを防ぐ、という点を最優先で考えるのであれば、水はけの良い、日光がよく当たる場所に設置し、通気性を確保するのが一番です。
ただし、そもそもウッドデッキを作りたい人は、「裏庭を有効活用したい」「洗濯物を干したい」「子どもたちの遊び場を」など、目的や場所から考えるもの。
多少日当たりが悪くても、施工方法を工夫したりこまめにメンテナンスすれば、ある程度カビや腐りを防ぐことは可能です。(次項からご紹介します)
通気性の確保には、周囲の植栽や目隠しフェンスの位置も重要です。
みっしりと生い茂った植栽が近ければ風通しは悪くなります。
またフェンスは直射日光を遮る為には有効ですが、サイズや位置、板幅によっては風を遮ってしまう場合があります。ウッドデッキの近くにフェンスがある場合は、フェンス面と平行に風の通り道ができるようにしましょう。
屋根を付けたパーゴラは日差しを完全に遮ってしまったり、空気の流れを止めてしまわないように設置しましょう。
パーゴラの屋根材にはポリカーボネート板がおすすめです。当店取扱のポリカ板は紫外線をほぼ完全にカットするので、ウッドデッキを長持ちさせます。布製のシェードをつける場合は定期的に洗濯しましょう。
3.ウッドデッキの湿気対策は下地が肝心
これからウッドデッキを作るのであれば、湿気に強い地盤にしておくのが理想的です。日当たりや水はけの良い場所に設置するのであれば雑草対策だけで大丈夫ですが、湿気がこもりやすい場所は下地作りに注意しましょう。
湿気対策で間違いなく効果的な下地はコンクリート打ちです。コンクリートは湿気が地中から上がってくることを防ぎ、雑草も生えてこないのでメンテナンスが楽です。ただし初期費用が高額です。(目安は1万円/平米)。
DIYで人気なのは防草シートと砂利・砕石の併用です。
砂利や砕石を敷くことで空気層ができ、湿気を帯びにくくなります。砂利の補充や雑草抜きなどのお手入れは必要ですが、砂利や砕石の種類で雰囲気が変わるので、自然なお庭づくりにはお勧めの方法です。砂利が周囲に流れないようにレンガや石で止めると長持ちします。
固まる土(防草土)は防草効果は高いですが、DIYでは施工が難しく、ヒビが入ったり、水が溜まる箇所ができてしまうことが多いので、ウッドデッキ下にはあまりお勧めしません。
いずれの場合でも、僅かな傾斜をつけて雨水が流れるようにしておくと、水がたまりにくくなります。流れた水は排水溝に流れ落ちるようにしましょう。
4.通気性を考慮したウッドデッキ施工
- ポイント(1) 基礎
- ウッドデッキは基礎を高めに作り、家の壁に接した部分は間隔を十分取ると通気性が良くなります。
- ポイント(2) 目地幅
- 床板の目地幅(床板と床板の間隔)は人工木の場合7mm、天然木の場合5mmが目安です。(樹種により推奨の目地幅が異なる場合があります)。 目地幅が狭いと湿気が籠もり、腐りやカビなど劣化の原因になります。
- ポイント(3) 獣よけ
- 猫の侵入や落ち葉が入り込むのを防ぐ為に側面や幕板の下を塞ぎたいのであれば、通気口をつけたり、ネットやメッシュ、フェンスパネルなどを利用することもできます。
(※通気性のよい枠なしラティスなら、見た目を損なわず幕板下を塞ぐことができます)
いずれも掃除のために取り外せるようにしましょう。床面に開閉口をつけて掃除しやすいようにするのもお勧めです。 - ポイント(4) 床下収納は避ける
- 裏庭など目立たない場所を有効活用する場合、ウッドデッキ下のスペースも活用したくなりますが、風の通りが悪くなるのであまりお勧めできません。
どうしても収納スペースにしたい場合は、床面と収納スペースの間を十分に開ける、通気口を作る、収納スペースを一部だけにして空気の逃げ道を作るなど考慮しましょう。
枠なしラティスの商品ページはこちら
4-2.施工の際の注意点Q&A
- Q1.床面の一部に水が溜まらないようにするにはどうしたらいい?
- A1.床面の一部に水が溜まる場合は、水平が取れていない、デッキの床板の隙間が不十分などの問題が考えられます。
水平が取れているか、デッキの床板の隙間の目地がしっかり取れているか確認しながら施工しましょう。
雨水を流れるようにする為に、床面自体に勾配をつけるのは、平衡感覚が狂うのでおすすめしません。徐々にウッドデッキが傾いたり、柱の一部だけに過度な荷重がかかってしまうなどの問題も考えられます。水勾配は下地につけましょう。(1%~2%。1mにつき1~2cm程度です)。
ベランダに施工する場合は、ベランダのコンクリート面に元々勾配がつけられているので大丈夫です。 - Q2.ウッドデッキを土の上に施工しても平板やブロックを使えば大丈夫?
- A2.日当たりと水はけの良い場所で、床下の通気性が十分確保されていれば問題はありません。
ただし、床面が低いウッドデッキは要注意です。
床面が低いデザインのウッドデッキはおしゃれで広々として見えるので人気ですが、通気性が悪いので、土の上ではなくコンクリートの上に施工しましょう。
また、床下の空気の通り道が塞がらないよう注意しましょう。床の高さが低い分、空気の通り道が狭いので、ちょっとしたものを隣に置いただけで空気が淀みがちです。
落ち葉などで側面が塞がる可能性もあるので、掃除はこまめに行なってください。 - Q3.段床のウッドデッキで気をつけることは?
- A3.段床(だんしょう)をつけたデザインのウッドデッキも人気ですね。
立体的な広がりでダイナミックな格好良さがあり、お庭や家屋の形にも合わせやすいデザインです。
ただし、段床もウッドデッキの前面や側面を塞ぐ作りですので、幕板を下まで下ろすと通気性が悪くなります。特に日当たりが悪い場所だとデッキ材が土の湿気を吸って、腐食やカビ、床材の暴れに繋がる可能性があります。
どうしても段床をつけたい場合は一段にして通気させるのがお勧めです。
横方向の通気性が十分であれば、前面のみ段床を多段にしても湿気の逃げ道ができます
作成のヒント
アメリカンスタイルのおしゃれなテラスデッキです。コンクリートの基礎で地面から底上げしているので、地面の湿気が伝わりにくくなっています。
横から見るとコンクリート面が僅かに傾斜しているようですね。日当たりも良いので、これだけ極端に床面が低くても乾きやすい作りといえます。
![コンクリート基礎のウッドデッキ]()
5.メンテナンスは湿気対策にも重要
メンテナンスはウッドデッキの美しさを保ち、長持ちさせる為に必要ですが、実は湿気対策にも重要な役割を果たします。
塗装が剥げてきた木はその部分にカビが発生したり、水が溜まって腐ったりします。そうなる前に塗装メンテナンスが必要です。
屋外木部保護塗料には防カビ剤や防腐剤が入っているので、2年に一度を目安として再塗装しましょう。
ハードウッドは塗装しなくても長持ちしますが、樹種や施工場所の条件によっては防腐・撥水効果のある塗料を選ぶと良いでしょう。
人工木は塗装メンテナンスは本来不要ですが、カビが生える場合や湿度の高い場所であれば、防カビ剤が入った人工木塗料で塗装するとカビを抑えられます。
塗装メンテナンスは2年に一度が目安ですが、ウッドデッキは年に一度の洗浄を目安として汚れを落とすと、見違えるようにきれいになります。広い場所は高圧洗浄機を使うと作業が楽です。
見栄えだけでなく、汚れを落とすことでカビの発生を抑え、コケや藻を除去できます。ウッドデッキクリーナーを使うとより効果的です。
床下の落ち葉やゴミは湿気がたまり、カビの原因にもなりますので、なるべくこまめに除去しましょう。
【ウリンの場合】
コンクリートの上にウリンでウッドデッキを作成するのは、湿気対策としては最強の組み合わせですが、ウリンは施工後に樹液がかなり出るもの。特にコンクリートは樹液で汚れると落としにくいことで知られています。
しかし、この樹液汚れは家庭用の漂白剤などで落とすことができます。(完全に落とせないこともあります)
※ウリンの樹液は酸性です。コンクリート用クリーナーとして売られている商品は不向きであることもあるのでご注意ください。
6.あなたの湿気対策は万全? 5つのチェック項目
1.床面に水たまりができていないか
4-2のQ&Aでも書きましたが、床面に水たまりができている場合は施工に問題があるか、すでに板が腐って陥没している場合です。早急にメンテナンスする必要があります。
床板の表面にリブがある場合はゴミや水分が溜まりやすいので、こまめな掃除が必要です。大きなゴミが付着していなくても、例えば花粉などが詰まって湿気を含むことがあります。週に一度、ホウキで簡単に掃除するだけでも効果があります。
浮造り風に凹凸のある加工がされている人工木もあります。リーベのプラチナデッキ2は人工木をコーティングしてある二重構造なので耐水性には強い材ですが、ゴミはもらいカビの原因になりますので、掃除して取り除きましょう。
2.コケや藻、カビが生えていないか
ウッドデッキの床面や基礎が緑や黒に変色しているのはコケ(苔)や藻、あるいはカビです。
それぞれ区別がつきにくい場合がありますが、どれも湿気の多い場所を好み、放置すると繁殖してしまいます。
これらは木材の劣化に繋がりますが、特にカビはアレルギーや喘息など体調不良の原因になるので、カビ取り剤で早めに除去することが必要です。(カビが生えやすい環境は、風通しを良くすることで改善します)。
苔や藻は有害ではありませんが、見た目を損なったり、悪臭の原因となったりします。
またそれ自体は害がなくても乾燥しにくくなるので腐りの原因になります。
コケや藻には定期的な掃除が有効です。お湯をかけ、ブラシで掃除するとかなり落ちます。
どうしても落としにくい場合は専用のクリーナーが販売されています。
人工木だからといって安心はできません。汚れが付着していると「もらいカビ」が発生し、材を痛めます。泥がはねたり、食物やジュースをこぼしたりした場合は早めに拭き取りましょう。
藻・コケクリーナーの商品ページはこちら
作成のヒント
ウッドデッキにできた雨染みや、材の黒ずみをカビと誤解することがあります。
雨染みは天然木でも人工木でも生じます。作成したばかりのウッドデッキに雨染みが生じるとびっくりしますが、均一に水をかけた後に拭き取るとほぼ落ちます。
黒ずみは付着した金属の粉と、材が持つ成分が起こした化学反応です。これはシュウ酸で落とすことができます。
届いたばかりの材(イタウバなど)にある黒い斑点は油分です。
区別がつかない場合は、なるべく精密な写真画像を撮ってお問い合わせ頂ければ確認いたします。
間違った対処法では症状が悪化することもありますので、お気軽にお問い合わせください。
また、メンテナンスでクリーナーなどを塗布する場合は、必ず目立たない場所でテストしてください。
こちらの画像は10年経過したサイプレスの雨染みとコケです。
白い筋のようなものが雨染みです。雨に含まれる成分が残ったものなので、特に害はありません。
うっすらとコケが付いていますが、何度も丁寧に塗装メンテナンスされているので、まだまだ使える状態です。
3.床下の土が湿っていないか
晴れた日が続いているのにウッドデッキの下の土が湿っている場合は、通気性が悪かったり、水が土壌から染み出しているなどの原因が考えられます。
雑草が生えている場合は除草すると湿度改善に繋がります。
ウッドデッキの木部が土と接していなくても湿気は地面から上ってきます。土がむきだしであれば砂利や砕石を敷くと空気の層ができます。防水シートを使用するという方法もあります。
4.塗装が剥げていないか
一般的に、塗装メンテナンスは「塗装が剥げてきた頃」に行います。環境によって差がありますが、目安としては約2年程度です。
塗装が剥げると内部に湿気が入り込みやすくなり、カビも発生しやすくなるので、日当たりが悪い場所はもう少し早い周期でメンテナンスすると効果的です。
紫外線が強い場所や、人がよく歩く場所も、こまめにメンテナンスした方が良い場所です。
シダーなどソフトウッドのウッドデッキであれば、年1回の塗装メンテナンスが理想です。
木の表面をじっとよく観察してください。色が乗っていたところが白っぽくなっていたり、木肌が見えているのであればメンテナンスする頃合いです。
塗膜を作るタイプの塗料ならヒビが入った時点で再塗装が必要です。部分的に補修しても良いのですが、凹凸ができることが多いです。
木の内部がすでに腐っている場合は取り替えてください。そのまま使用すると腐った部分を踏み抜くなどして危険です。
再塗装の前に表面のゴミや泥を落とし、完全に乾かしてください。どうしても落ちない場合はやすりを使います。
※顔料の入っていないクリアー(透明)塗料はUV効果がないので、木の色を活かしたいからといってクリアーだけで塗装すると紫外線で劣化します。
クリアーは下塗り材としてご使用ください。クリアーは防腐や防カビ効果はありますので、クリアの上にカラー塗装すると、よりしっかりと湿気対策できます。
5.植栽で日陰になっていないか
花や樹木に囲まれたウッドデッキは素敵ですが、常に日陰になっていないでしょうか。
床だけでなく、基礎部分も注意してチェックしてみてください。植物がよく成長すると、ウッドデッキの足元が隠れてしまうことがあります。コケが生えていたら注意が必要です。
また、ウッドデッキの近くに背の高い植栽があったり、ウッドデッキの床の一部にスペースを設けてシンボルツリーを育てている場合は、落ち葉の掃除もお忘れなく。
落ち葉がウッドデッキに溜まるとカビや湿気、害虫発生の原因となります。
![縁側風の和風ウッドデッキ]()
ご家庭の環境にあった湿気対策で、快適なウッドデッキ生活をお過ごしください。